潜在保育士とは?保育士に復帰しない理由や復職のための取り組みを紹介

潜在保育士とは?保育士に復帰しない理由や復職のための取り組みを紹介

少し前から保育業界でよく耳にするようになった待機児童の問題や保育士不足。議論されるようになってからしばらく経ちますが、なかなか問題解決に至っていないのが現状です。それらの問題を解消するための重要なキーワードとして「潜在保育士」という存在に注目が集まっていることはご存知でしょうか。言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような人のことを指すか知らない方も多いかと思います。

 

今回は、潜在保育士とは何か、また保育士として復帰しない理由や国や自治体が行っている保育士が復職するための取り組みについて解説していきます。

目次

 

1.潜在保育士とは

2.保育士を辞める理由

3.潜在保育士が仕事に復帰しない理由

4.潜在保育士解消のための国や自治体の取り組み

5.潜在保育士から、保育園保育士へ就職するためのポイント

 

 

 

潜在保育士とは

 

⎿潜在保育士の定義

潜在保育士とは、保育士資格を保有してはいるものの、保育園や認定こども園などの保育現場で仕事をしていない人のことをいいます。

潜在保育士は次の2つのタイプに分けられます。

①保育士の資格を持っていて、保育現場での勤務経験があり、現在離職している人

②保育士の資格を取得したが、一度も保育士として勤務したことがない人

このように、保育士としての仕事を経験してから辞めた人だけではなく、最初から保育士にならなかった人も保育士の資格を持っていると潜在保育士といいます。

 

では、潜在保育士の数はどのくらいいるのでしょうか。



 

 

潜在保育士の数

厚生労働省の調査によれば、潜在保育士の数はなんと全国に約95万人もいるといわれています。

 

現在、保育士の数は7.4万人足りないとされているので、潜在保育士が保育現場に復職すれば、保育士不足問題は一気に解決できそうですね。

 

では、どうして潜在保育士になってしまったのか、なぜ保育士を辞めてしまったのか、それらの理由について見ていきましょう。

 

出典

保育分野における人材不足の現状①

保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けて

 

保育士を辞める理由

 

⎿給与

保育士の離職理由として、まず挙げられるのは「給与の安さ」です。

保育士の仕事と他の職種の給与を比較すると、その差は歴然としています。全職種の平均年収が約500万円ですが、保育士の年収は約363万円。100万円以上も差があります。

尊い子どもの命を預かり、その成長を支援する大変やりがいのある仕事である保育士。ですが、その仕事量の多さや責任の重さと給与が見合わないと考え、離職する理由のひとつとなっているようです。

 

出典

保育士の現状と主な取組について

 

 

 

⎿労働環境

次に退職理由として挙げられるのは、自分の生活に合う労働条件で働くことが難しいからです。一般的な保育施設の開所時間は、朝7時からと一般的な職業の始業時間より早く、夜は19時や遅いところですと21時に閉園する施設もあります。そこで働く保育士は開所時間に対応すべく、さまざまな時間帯のシフト勤務をしているところがほとんどです。すると、育児中のため勤務時間と自身の子どもの保育園への送迎時間が合わないなど、家庭との両立が難しいとして保育士として働くことを諦める場合もあるようです。

 

 

⎿業務負荷

保育士の仕事は、子どもの命を預かる責任のある職業です。一日中子どもたちと過ごすだけではなく、子どもたちの安全と健康に常に気を配り、日々の活動の準備や園内の環境整備、保護者への対応、連絡帳、保育の合間には書類仕事や季節ごとの行事の準備など仕事内容は多岐にわたります。

 

厚生労働省の調査では、保育士の業務における課題を以下のように挙げています。

・慢性的な人手不足

・行事等追加業務の多さ

・書類作成

・特別な配慮を必要とする子どものケア

休憩時間が取れない、サービス残業や持ち帰りの仕事がある保育施設もあり、そのハードな業務内容から退職の選択をする保育士も多いのかもしれません。

 

出典

 

令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究 事業報告書

 

 

⎿結婚

近年、男性の保育士も増えましたが、保育士は女性が多い職業です。保育士を退職する人の中には、自身の結婚や出産がきっかけとなるケースも多く見られます。厚生労働省の調査によると、潜在保育士の75%が配偶者あり、69%が子どもがいるという結果があります。まずは、自分の家庭や子どものことを一番に考えたいと思った時、保育士の仕事は給与や業務負担の面だけでなく、子育てや家庭と仕事との両立ができないと思い離職を選ぶ人も多いようです。

 

出典

潜在保育士の実態について

 

潜在保育士が仕事に復帰しない理由

 

⎿賃金

保育士の賃金の安さが潜在保育士の仕事復帰を妨げる理由のひとつとなっています。

保育士はやりがいのある仕事ですが、保育士の平均賃金は全職種の平均賃金と比較して、給与額が低い傾向にあります。連絡帳や行事、クラス運営や保護者対応などの仕事量の多さと子どもの命を預かる責任の重さを考えると、賃金が見合わないとして保育士の仕事に復帰しないようです。

 

 

⎿子育て

多くの保育施設は早朝保育や夕方の延長保育があり、保育士がさまざまな時間帯でシフト勤務をすることで対応しています。ですが、子育て中の保育士は、自身の子どもの保育園や学童への送迎の時間が合わずにシフト勤務への対応できない方も少なくありません。

また、担任を受け持つと、クラスの書類や製作物などの仕事が増え、残業や持ち帰りの仕事をしなくてはならない場合もあります。

以上の点を踏まえて、子育てとの両立ができるかどうか不安に感じている潜在保育士も多いようです。復職をためらってしまう理由のひとつと言えるでしょう。

 

 

⎿労働環境…

潜在保育士の中には時間単位勤務を希望している人も多いようです。過去に保育士として仕事をしていた人の時間単位勤務での復職意向は、配偶者有り子ども有りの場合、約8割が時間単位勤務での復職を望んでいるという結果になっています。保育士としての復職の意志があっても、希望する働き方と合う求人がないことが復職の妨げになっています。

 

出典

保育士の現状と主な取組について

 

潜在保育士解消のための国や自治体の取り組み

 

多くの潜在保育士がさまざまな理由から復職できないでいますが、国や自治体はそんな潜在保育士が復職するためにどんな取り組みをしているのでしょうか。

 

 

⎿労働環境改善

厚生労働省では、保育士不足を解決するために「保育士確保プラン」を打ち出し、職場の環境改善や再就職を支援する取り組みなどを実施しています。具体的には、管理者を対象とした職場環境の改善のための研修を行ったり、雇用管理の好事例集や雇用管理マニュアルを作成して配布するなどしています。

 

 

⎿給料アップ

保育士を離職する理由、復職しない理由の両方に挙げられている給与ですが、政府は平成29年度から保育士の給与を勤続年数や経験年数、役職などに応じて約3%ほど加算しました。

 

その他にも、潜在保育士の再就職を支援する取り組みとして、多くの自治体では就職準備金の貸付制度を行っています。自治体によっては、〇年間継続して保育士として就業することなどの条件を満たすことで返還免除があることもあります。貸付の対象や額、貸与された資金の使い道など、利用条件や基準は自治体によって異なるので、制度の利用を検討する場合はよく確認をしましょう。

 

例えば千葉県松戸市では、市内勤務の保育士に対し〇〇万円(勤続年数が上がるほど金額が増える)を支給するなどの取り組みを行い、保育士確保に成功しています。これを皮切りに千葉県内の主要な自治体や、東京都の各区、京都市(今後の制度継続は検討中)などが、保育士の賃金アップに取り組んでいます。実際に、千葉県流山市は、その成果なのか、子育て世帯から、全国トップクラスで人気のある自治体として認知されています。

 

 

⎿復職のための研修

潜在保育士に対して、保育士・保育所支援センターへの登録を進めることで、再就職希望の状況を把握できるようにし、復職に向けた研修の案内などを行っています。

 

 

⎿離職防止支援

離職防止のための研修支援として、保育の質の確保のための研修を行ったり、研修参加に伴う代替職員が確保しやすいようにしています。それに加えて、離職防止のための研修等に関わる助成の活用促進などを進めています。就業継続支援のための助成金を保育施設等に積極的に周知させ、保育士の離職防止を図っています。

 

潜在保育士から、保育園保育士へ就職するためのポイント

 

このゆび保育では、潜在保育士の方も対象として転職サポートを行っています。保育経験がある潜在保育士の方の多くは、ご家庭があり子育て中のケースが多いため「シフト」に関する希望が特に目立ちます。特に未就学児のお子さんがいる場合だと、早番か遅番どちらかだけを希望することが多いです。また、ここ数年で保育業界でもじわじわと広まりつつある「時短勤務制度」を利用するケースです。この場合、給与は勤務時間分に応じて減額されますが、正社員と同じく担任を持ちながら、毎日16時退勤などの働き方ができます。このような制度は、比較的たくさんの保育園を展開している法人や、1園あたりの職員数が多い(シフトの融通が効く)保育園で導入されているケースが増えています。

 

一方で、保育経験がない方の場合は「新人保育士への教育体制」を重視されるケースがあります。具体的には「いきなり1人担任にならないか?」「日案や週案などの作成について、しばらく先輩や主任、園長などからの指導があるか?」などです。また、異業種での経験を経て保育士資格をとった方も多いことから、保育業界の大変さについて事前リサーチをしている方も散見されます。例えば「サービス残業が禁止されているか?」「各種書類はパソコン作成できるようになっているか?」などがあります。この場合は、園見学や園長先生との採用面談の際に、残業時間の平均時間を質問したり、実際に書類を見せてもらうのがよいかもしれません。

 

いずれにしても、潜在保育士から保育園保育士に就職する場合は、保育園保育士からの転職と異なり、これまで書いたような独自の希望を持っているケースが多いです。そのため、転職活動の際は、より慎重に確認しながら進めていくことが重要です。

 

このゆび保育では、潜在保育士の方の転職サポートをしてきた実績から「〇〇な部分は大丈夫ですか?」「そのケースは、こうやって進めましょう」など、安心して保育園探しをするサポートをしています。

 

まずはご相談だけでもお聞きしますので、お気軽にお問い合わせください。



このゆび保育では、このような保育業界の専門知識を豊富に持ち合わせたコンサルタントが、あなたの就職・転職をサポートします。

 

転職に限らず、保育のことや働き方についてなど、お気軽にご質問くださいね。

このゆび保育では、このような保育現場に特化した情報発信を行っていきます。また、保育業界の専門知識を豊富に持ち合わせたコンサルタントが、あなたの就職・転職をサポートします。

 

保育のことや働き方、また転職相談などお気軽にご質問くださいね。


落ち着いて納得して保育園を選べる転職サポート(無料)

このゆび保育の保育転職プログラムは、丁寧な面談を受けられることと、保育体験ができることです。

このゆび保育の転職サポートは「安心感」「納得感」が特徴です。

  • 面談は、30分以上かけてしっかりお話をうかがいます
  • あなたに合うと考える保育園を2園以上ご提案します
  • 応募・面接の前に保育見学や園長面談ができます

完全無料で、一人ひとりに寄り添い、転職を成功させるためにサポートします。

 


このゆび保育専属ライター

Yu-ki

 

【プロフィール】

現在、認可保育園にて乳児部門の副主任として活躍する現役保育士(31歳)。このゆび保育のコラム編集には、自身のスキルアップも兼ねて、時間の合間に調査から執筆まで行う。

 

新卒で幼稚園に入ったが、保育に魅力を感じ転職。保育の楽しさ、また大変さを感じつつ、今後も保育士を長く続けたいと思っている。Twitterの保育士愚痴アカウントには、共感と一定の理解もあるのが本音。

 

 

プライベートと仕事は全く別と考えており、仕事モード以外では、保育のことを考えず、季節に合わせたコーデを中心に気持ちを切り替えている。

取材協力:〇〇 さん
保育記事作成:このゆび保育 編集委員