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最新版!東京都の保育士借り上げ社宅制度終了の可能性!?

最新版!東京都の保育士借り上げ社宅制度終了の可能性!?

都市部の保育士不足解消を目的に地方在住の保育士の確保を目的に始められた保育士借り上げ社宅制度。2013年に横浜市が実施。その後2015年には東京都でも導入され、千葉県や埼玉県の一部自治体にまで広がった保育士の借り上げ社宅制度。その社宅制度が東京都でが今年度2020年度末を持って終了という情報が広がっています。

 

今回はこの東京都の保育士借り上げ社宅制度終了について、この分野の第一人者であり現役保育士の“こばやしだいすけ”さんにお話を伺いました。

 

どうして東京都の保育士借り上げ社宅制度が終了になるのか

もともとこの保育士の宿舎借り上げ支援事業(以下:保育士借り上げ社宅)を東京都で実施するにあたり「5年間の時限措置」という扱いで始めました。東京都では世田谷区が東京の自治体として2015年にこの保育士借り上げ社宅制度を導入しましたので、当初はこの世田谷区が2020年度にこの保育士借り上げ社宅制度を継続するかどうかが他の自治体や保育事業者たちが注目をしていたのです。

 

借り上げ社宅制度存続のポイントは“予算面”ではなく“費用対効果だった”

実は保育士の借り上げ社宅制度についての存続は当初、“予算面“よりも実際にその効果があるのかがポイントと言われていました。そもそもこの借り上げ社宅制度は保育士の処遇改善が目的ではなく、保育士が余剰になっていて正社員としてなかなか就職出来ない地域から、国や自治体の予算を使って保育士を上京させようとすることが目的でした。

 

ところが、東京都内で実施されている保育士借り上げ社宅制度は『東京都内に住んでいる保育士にも適用可能』となっており、結果としてこの社宅制度を使わないと東京都内の他の自治体に保育士が奪われてしまうから、うちも同じように都内在住者でも使えるように制度を整えなければという流れになってしまったのです。つまり東京都内で保育士を確保しあうだけならば、本来の目的とは違うのではないかという点が問題視されていたのです。

借り上げ社宅制度の導入前後

 

新型コロナウィルスの流行により潤沢だった東京都の予算が枯渇してしまう

ご存知令和2年は新型コロナウィルスの流行により国と東京都は経済対策などを中心に財源を大幅に使ってしまいます。特に東京都は休業補償などを積極的に実施しましたので全国で最も高い支出になりました。

東京都の貯金(財政調整基金)

 

実際に東京都の保育士借り上げ社宅制度はどれくらいの予算を使っているのか

保育士借り上げ社宅の負担割合

上記図表は東京都足立区の保育士借り上げ社宅に関する利用データです。足立区では令和元年に559名が借り上げ社宅を利用しました。(残念ながら転居前の住所はどこの自治体もデータを取っていません。)この足立区の数字をベースに東京都全体で大まかな数字を出してみます。

 

【東京都全体での保育士借り上げ社宅の総費用】

・82,000円×559名×23区=10億5427万4000円

 

【東京都が保育士借り上げ社宅の為に負担する補助金額】

10億5427万4000円×1/4=2億6356万8500円

 

この数字は自治体によって利用人数も上限金額も異なりますので概算です。結果として東京都は約2億6000万円を保育士借り上げ社宅制度に予算を使っていることになります。この金額。東京都全体の予算で考えれば割合的にはそれほど大きくありません。しかしもし終了になった場合には国の予算も終了になります。その為、各自治体で継続して実施する場合には、東京都だけでなく国の予算分も負担することになるので、各自治体は慎重な対応を迫られています。

 

令和2年9月時点での各自治体の対応

実はいくつかのメディアでも発信しており実際に毎月20名近くの保育士さんからDMなどで直接相談が来ているのですが、借り上げ社宅制度の継続or終了については東京23区の各自治体によって対応は様々です。

城東地域の宿舎借り上げ制度の最新状況

城東地域 (江東区、葛飾区、江戸川区、墨田区、台東区)

この地域では基本的に未定の区が多いです。JR以外の路線地域も多く、家賃相場的には比較的抑えられる物件が多いです。社会福祉法人運営の園庭がある保育園も多いです。

 

城西地域の借り上げ社宅制度の最新状況

城西地域 (杉並区、新宿区、世田谷区、練馬区、中野区、渋谷区)

基本的に新宿駅より西側に移動する地域なのですが「渋谷と一部世田谷」が一緒なのが少々ややこしいです。JR中央線沿線は交通の便もよく20代には人気の地域。注目されている世田谷区は東京都にあわせるという回答の為、世田谷区独自で借り上げ社宅終了という方針はなくなりました。練馬区は区内で働く保育士に独自制度で慰労金を支給。渋谷区は引っ越し費用負担。

城北地域の宿舎借り上げ制度の最新状況

城北地域(豊島区、足立区、北区、荒川区、文京区)

文京区は世帯所得が高い傾向があり、保護者層が他の4区と比べると少々違う雰囲気。(国立の小学校が最も多い地域)北区、足立区、荒川区は『子育てしやすい街』をスローガンに掲げており、実際に多くのサイトで子育てランキング上位に入っています。保育中に戸外保育で使える大型公園がある地域が多いです。

城南地域の宿舎借り上げ制度の最新状況

城南地域(目黒区、品川区、大田区)

東急線と京急線がメインとなる地域です。株式会社系の保育園は移動のしやすさもあり、同一法人がこの地域内で複数展開している傾向が東京都内で最も強いです。注目は大田区。大田区は世田谷区同様にいち早く保育士借り上げ社宅制度を導入した区であり、他の自治体に先駆けて大田区主導で保育士を採用する為に、ネット広告費の予算も組み込んで大田区独自の大規模就職セミナーを開催した実績もあります。そんな大田区は「いきなり社宅制度が終了したら保育士さんたちが困ってしまう」という理由から独自に社宅制度の継続を検討していると明言しています。

都心3区の宿舎借り上げ制度の最新状況

都心3区 (中央区、港区、千代田区)

山手線内に位置する地域が多く、高所得層が集まる街です。また中央区、港区や千代田区は大手企業の本社も多い為、法人税が多く入る為、潤沢な予算が組めるのでいずれの区も社宅制度が終了しても、独自予算でなにかしらの支援を検討しています。土地の値段も高い為、傾向として社会福祉法人よりも株式会社系の保育園が圧倒的に多い地域でもあります。

 

東京都内の借り上げ社宅一覧表についての補足

出来れば各自治体別に、保育園の設置法人や保護者層など、保育士目線に沿った解説をしたいところですが、今回は借り上げ社宅制度に絞って短めに解説しました。

(各自治体による保育園の傾向等については個別にご質問ください。)

 

その中で今回「東京都が借り上げ社宅終了した場合」という項目がありますが、多くの自治体で「空欄」になっています。実はこの16区のうち2つの自治体が「終了」と明言しています。しかしその自治体名をここで書いてしまうと、その自治体への問い合わせが多くなったり、そこで運営する保育園に迷惑がかかってしまう可能性があるので、空欄にしています。

(“保育士”“保育学生”には個別質問でお答えしています)

 

その他に問い合わせで最近多いのは「結婚ならびに同棲を考えた保育士借り上げ社宅の利用」です。これは図表の以下の総括②の通りです。ですが自治体の許可よりも法人規程で結婚、同棲による社宅利用を認めていない保育園も多いです。

(このような転職相談については“このゆび保育”で対応しているそうです。)

 

情報は常に変わるものであり、もし気になることがあれば直接自治体の担当者または、私までお問合せください。

 

東京23区の借り上げ社宅制度の総括

 

保育士借り上げ社宅制度の功罪と新たな問題点

では実際にこの保育士借り上げ社宅制度は、東京や神奈川など都市部の保育士不足解消に役立ったのか。答えは“YES”です。実際に上京して働いている保育士に話を聞いてみると「借り上げ社宅がなかったら上京していない」という回答が多く寄せられます。他にもこの社宅制度実施により、今まで住宅手当などを設けていなかった法人も社宅制度や住宅手当を導入した所も多くあります。

 

しかし上京目的以外に使う事に対しての疑問。社宅利用者と利用したくても利用できない保育士との間による収入格差(既に結婚している保育士など)が生まれることなどを理由に社宅制度を導入しない。またはこの社宅制度よりも恒久的な財源を求めるべきだという経営者も多くいるのも事実です。ただこの社宅制度で上京して働く保育士が増えたのは間違いありません。

 

 

本当に多い保育士からの質問や相談

数のメディアやSNSで保育士の社宅制度について発信して以降、本当に多くの質問が寄せられています。その中で多いのは・・・

 

1位:自分が働いている地域は現時点で社宅制度はどう考えているのか。

2位:社宅制度が終了したら、今住んでいる社宅はどうなるの。法人はどう考えているの。

3位:4月から社宅を利用して上京、転職を考えているがどうしたらよいのでしょうか。

 

実際に多くの法人では、借り上げ社宅終了の場合の対応を既に考えています。実際に社会福祉法人の理事長たちの集まりでもこの話題が議論になっていました。株式会社でも大手ではコンビウィズ、ネス・コーポレーションなどは既存の職員だけでなく昨年から採用面接時に社宅終了した場合には、どうなるのかを明確に説明しています。一方、未定である為、法人としてもまだ社宅を利用している保育士に伝えていない法人も同様にあります。

 

借り上げ社宅制度はあくまでも「保育士不足解消による時限的措置」ですので決していつまでも続く制度ではありません。その辺りも含めて社宅の利用や給料の使い道などを考えていただきたいと思いますし、私自身はDMでも構いませんので質問があれば引き続き個別にお応えしていきたいと考えております。

(本職は現場の保育士なので、返信に1~2日程度かかることがありますのでご了承ください。)

 


保育士借り上げ社宅制度のコラム執筆者

このゆび保育 保育転職プログラム

このゆび保育の保育転職プログラムは、丁寧な面談を受けられることと、保育体験ができることです。

 

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取材協力:こばやしだいすけ さん
保育記事作成:このゆび保育 編集委員