保育園の面接は複数受けていい?
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結論から言うと「問題ありません」
これは日本国憲法22条で明確に示されています★
憲法22条の条文

保育業界で複数の面接NGの理由
保育士養成校を卒業された方の中には「保育園では見学は行ってもよいが採用試験の掛け持ちは禁止」「内定が出た場合は就職活動を終了にしてください」このような指導を受けたという方はいませんか。実は筆者も保育学生時代にはこのような指導を受けたことがあり就職活動はとても慎重に進めていました。
でも上述のようの複数の面接や内定辞退というのは法律違反ではありません。むしろ他の学部の学生は1人で何十社も受験し、複数の内定をもらった中から自分が一番行きたい企業に就職をするのが普通です。
ではどうして保育業界においてはこのような指導があるのか。それは「保育園」「幼稚園」ならではの特徴が理由になっています。わかりやすく下記の比較表をもとに説明していきましょう。
保育園と、一般企業の比較

1.保育園は採用人数が決まっている。欠員が出た場合に実質入れ替えで採用。
2.多くの保育園が職員面接を運動会明けに行います。ですが実際には年末に退職の意向を伝える保育士が多いので、1月に採用試験が行われることも少なくありません。
3.保育園は保育士配置基準のルールもあるので、職員人数が不足した状態で新年度を迎えられないので必ず再募集を行わなければいけません。
では「一般企業と同様に余剰採用すればいい」と思いますよね。確かに職員を多く採用すると確かに職員の仕事量も減ります。子どもたちにより丁寧な対応が出来るというメリットばかりが生まれます。
しかし、保育園は国と自治体の補助金によって運営されているので、職員を多く採用すると、今度は働く保育士さんたちの給料を下げることになってしまいます。なので、どうしても職員人数ならびに採用人数には限りがあるのです。
採用辞退してもまた再募集すればよいのでは
一般企業のように試験が6月であれば再試験も実施できます。しかし保育園は上述のように採用時期が1月以降になることもあります。その場合、再試験を行うとなると2月中旬~3月に入ってしまいます。その時期までにまだ内定が決まっていない保育学生ってどれくらいいるでしょうか。
転職組の現役保育士は多忙で転職活動が年明けから始める方も少なくありません。でも情報収集は早い段階から行っている保育士が多く、やはり出来るだけ早く転職先を決めておきたいと思いますよね。そうなると年が明けてから内定辞退をされると保育園側は本当に困ってしまうのです。それは保育園側だけでなく内定辞退者の影響で「新年度のクラス担任決定がギリギリまで決められない」という別の問題が発生してしまうのです。
この10年で変わりつつある保育業界の採用
東京都内を中心に待機児童が多い地域は保育園の新規開園が大幅に増えました。その結果「同一法人での採用人数が大幅に増えた&毎年定期的な採用が発生」という一般企業的な流れに変わりました。これは1法人1施設から1法人による複数運営が進んだことが影響しています。また東京都や神奈川県などではまだまだ待機児童が解消されていないことから、新規開園も続いているので4月の段階で来年度の採用枠が既に生まれているというのが令和の保育業界の特徴です。
複数の見学や面接を受けたい保育士・保育学生さんのために
それでも、まだまだ1~3施設運営で採用枠が少ない保育園の方が多いというのが現状です。また「複数の面接」については保育園が保育士養成校側へのお願いなので、自分で探す分にはそれほど意識しなくてもよいことなのですが・・・職業選択の自由があると言われても改めて上述の説明を聞いてしまうと「やっぱり面接は1つの保育園に絞ろう」と考える優しい方が多いというのも保育士さんの特徴だと言われています。
もしそのような保育士さん、保育学生さんがおりましたら「そういう時に保育士求人会社を使う」というのが本来の使い方だと思ってください。自分自身では聞きたいことや言えないことなどを代わりに保育園側にその旨を伝えたり、調整したりすることが求人会社の役割です。中には見学はいくらでも構いませんが面接は1つにしましょうという方針の保育士求人会社もありますが、それも間違いではありません。保育園同様に求人会社も1つに絞らず複数の会社に相談してみてもよいと思います。
取材協力:こばやしだいすけ さん
保育記事作成:このゆび保育 編集委員
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末永ゆかり (金曜日, 14 1月 2022 15:12)
以前保育運営会社に勤めており、採用マネージャー兼SVマネージャーをしておりました。新卒保育士が就活で1つの保育園しか選べないという指導をされている実態は痛いほどよくわかり、その課題感も感じています。
保育士の長期的なキャリア形成を鑑みると、やはり一般企業と同様に自分たちで考えて選び抜ける仕組みがあるべきだと思います。
保育士はシフトに入れない等の事情のほか、人間関係や職場環境で退職する人が多数です。採用現場において健全な競争環境がなければなかなか改善されないのではと危惧しています。
認可保育園などの補助金の仕組みの見直しも考えるべきことなのではとも思います。自治体によって独自加算の有無などの差もありますし、単純に勤務年数だけで補助金加算される仕組み等も課題感を感じます。
このゆび保育・スタッフ (日曜日, 23 1月 2022 11:26)
末永様、コメントありがとうございます。
その点、とても同感致します。一方で、保育士養成校にもヒアリング等行っていますが、、学校経営上どうしても難しい面が多々あるとのことでした。また、養成校時代にキャリア教育がほとんどないのも課題に感じています。
他方で、当社がお取引している保育園様の多くは「他の保育園もちゃんと見てきてね」と言ってくださる法人が多く、保育園側からも、懐の深さを持って保育士に地道に伝えていくということもひとつなのかなと感じています。
考えさせられるコメント、ありがとうございますm(_ _)m